こまだこまのロバの耳ブログ

旅行と生活。ときどき読書。だいたい酒。

『カレーライス‼』

食べ物や食べることに関する本が好きな人はどれくらいいるんだろう

わたしはなぜだか食べ物に関する本が好きだ。

エッセイにしろマンガにしろ、「食モノ」を見つけるとつい立ち止まらずにはいられない。

 

料理本などは「写真集」としてみているフシがあり、いくら料理本を買ったところで料理は上達しない、ということに 気づくまでに時間がかかった。

 

というわけで、わたしと同じような性癖の人がいたらうれしいなーと思うので、 

食べ物に関する本だけ、一冊ずつ感想を書いていこうと思います。

 

100人いれば100通りのカレーライスがある

アンソロジー カレーライス!!

アンソロジー カレーライス!!

  • 作者: 阿川佐和子,阿川弘之,獅子文六,東海林さだお,安西水丸,滝田ゆう,寺山修司,中島らも,林真理子,藤原新也,古山高麗雄,町田康,色川武大,向田邦子,村松友視,山口瞳,池波正太郎,吉本隆明,よしもとばなな,吉行淳之介,伊集院静,泉麻人,伊丹十三,五木寛之,井上ひさし,井上靖,内田百?,内館牧子,小津安二郎,尾辻克彦,神吉拓郎,北杜夫,久住昌之,佐内正史
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このアンソロジーシリーズは5冊あるようで、あとの4冊はビール、そば、餃子、おやつ、となってます。

 

カレーライスにだけ、「!!」をつけるあたり、カレーライスに対する思いの強さが感じられます。

確かに、日本人ならカレーライスについて誰もがひとつはエッセイを書けるんじゃないでしょうか。

 

 

33人の豪華な執筆陣が、それぞれのカレーライスについて語ってます。

戦中、戦後を生きた方たちの文には、カレーライスがいかに「ごちそう」であったかということや、「メリケン粉」、「中村屋のカレー」というワードがたびたび出てきて、カレーライスの歴史がしのばれます。

 

独自のカレーライスのレシピを紹介したり、カレーライスをめぐる周辺の人にまつわる話など、作家の切り口はさまざま。

 

 

そのなかでわたしが最も印象に残ったのが、

藤原新也さんの「アルプスの臨界現象カレー」です。

 

長野県駒ケ根市にあるカレー屋「アンシャンテ」を、藤原さんが初めて訪れたときのエピソード。

 

今まででインド滞在期間が延べおよそ6、7年におよぶという藤原さん。本場のカレーを相当数食べているので、よほどのカレーでないと旨いとは思わないのだが…

 

決して本場のカレーに似せようとしているわけではない。しかしそこにはある独自の個性を持ったまろやかで丁寧な底味が一品一品に染みこんでいるのである。そして満たされた食卓がいつもそうであるように、食が進むごとに世間の雑念雑事を忘れ、味覚三昧の小宇宙に浸っていく幸福感を覚えつつあった。

 

小宇宙……。

藤原さんの陶酔感が伝わってきます。

そして藤原さんの興味は、こんなに旨いカレーライスをつくる人がどんな人なのかというところへ向かいます。

はてさて、そのご主人とは?

 

これを読むと、俄然ここのカレーライスが食べてみたくなります。そして、わたしたち日本人が生きている時間とは……とかって、なんだか急に遠い目になったりします。

カレーライスから哲学へ。

ここはおとりよせもできるらしいのですが、いつか実際にお店に行ってみたいところです。

 

 

 

それからもうひとつ。

吉本隆明さんの「即席カレーくらべ」。

 

自ら11種類のレトルトカレーを買ってきて食べ比べ、表をつくって批評する、ということをやっておられます。

吉本隆明さんと言えば、なんか難しいこと書いてる思想家、というイメージだったんですが、こんなブロガーのようなこともされていたとは。

 

一気に親近感がわいたのでした。

 


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