こまだこまのロバの耳ブログ

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『君がいない夜のごはん』 ミスドのD‐ポップはださい?

10年ほど前に、エッセイ『世界音痴』をきっかけに歌人穂村弘にハマり、トークイベントなどに足を運んでいたりもしていました。

でもいつしか、彼のキャラクターでもある幼児性に、「なんだかなあ」と思いはじめてしまい、彼の書くものからすっかり遠ざかっていたのですが。

食モノエッセイってことで久しぶりに手にとってみました。

 

君がいない夜のごはん

君がいない夜のごはん

 

「穂村節」相変わらずです。

これを書いた当時、穂村さんは49歳。いい意味でも悪い意味でも、49歳の男性が書いた文章とは思えません。

 

独特の文章表現や発想力は、さすが歌人です。

たとえばこんな書き出し。

 

或る夫婦がセックスの仕方を間違えていたために子供ができなかった、という話を聞いたことがある。一体何をどう間違えていたのか、おそろしくて尋ねることができなかった。

 

 この書き出しからどうやって食の話として展開して着地するのかと思いますが、いかにも穂村さんらしい感じの着地。

こういうのって自分で書こうと思っても書けないんですよねぇ…。

 

それから、これってどれくらいの人が共感するんだろうなぁと思ったのが、穂村さんが友人とミスタードーナツに行ったときの話。

6種類の小さな球形ドーナツのセットである、D‐ポップを頼んだ穂村さんに対して友人が、

「ださー」

え?びっくりする。

「ださー、って何が?」

「ほむらさん、D‐ポップなんて食べるんだ」

ええ?さらにとまどいながら、私は云った。

「いや、だってこれ、ひとつでいろんな味が楽しめるじゃん」

「だから」と彼女はきっぱり云った。「それがださいんだよ。ヒトツデイロンナアジガタノシメル」

えええ?それがださい……。わからない。わからないけど、なんか、わかるような気もする。

 

わたしも、いろんなミュージシャンのベストアルバムばっかり持ってる人って、なんかかっこわるいというか、薄っぺらい感じがするよな……と思ってたので、この話ではなんとなく彼女の言ってることもわかるような。

D‐ポップ好きな人いたらごめんなさい。

 

 

ドーナツは穴も含めて味だと思ってますからね。球形だとなんかそそられないんですよねぇ。

わたしはミスドではだいたい、ポンデリングゴールデンチョコレートです。

どうでもいいですね。

 

 

ちょっとズレた場所から世界を見つめつづける、穂村さんのまなざしが感じられる一冊なのでした。

 

 

 


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