こまだこまのロバの耳ブログ

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シュヴァルの理想宮への行き方。「孤独の建築」をたずねてオートリーヴへ。(2017/4/7)

心をざわつかせる「シュヴァルの理想宮」のエピソード

 

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フランス南部の田舎町に、郵便配達員をしていたシュヴァルという男がいた。

 

彼はある日、歩いて配達をしている途中に石につまずいて転びそうになった。

その石を見るとなんとも不思議な形をしていたので、彼はポケットに入れてそれを持ち帰った。

 

その日から、彼は配達の途中にいい石を見つけると持ち帰るようになり、さらには仕事が終わってからも手押し車を押して、何キロも歩いて石を集めるまでになった。

 

そして彼はその石たちを積み上げているうち、長いあいだ心に思い描いていた「夢の宮殿」を建設することを思いつく。

 

以来33年間、彼は余暇のすべてを使い、誰の手も借りずにたった一人で「理想宮」を作りあげたのだった。

 

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このエピソードの持つ力は、いったいなんなんだろう。

「石につまずく」→「理想宮の建設」という、原因から結果へのとんでもない飛躍の仕方が心をざわつかせるんでしょうか。

「33年間」という数字の重みもすごいです。

 

建設にとりかかってからしばらくのあいだ、彼は村人たちから気違いあつかいされたといいます。

まぁたしかに、もしうちの父親が同じことをやり始めたらかなり心配になるとは思いますが。

シュヴァルのエピソードに心惹かれて、わたしがこの本を買ったのが10年ほど前で、「実際に見てみたいなぁ」とぼんやり思っていたものの、

まさか本当に自分がこの場所を訪れることになるとは思ってもみませんでした。

 

シュヴァルの理想宮への行き方

シュヴァルの理想宮は、交通の便のわるい田舎町にあるので、車で行くのがベストです。1時間~1時間半ほどで行けるみたいです。

でもわたしはペーパードライバーで運転がこわいので、電車とバスを乗り継いで行きました。ですが乗り継ぎがわるく、公共交通機関ではかなり行きづらい場所にあります。

 

 

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わたしはリヨンに宿をとり、リヨンからの日帰りで行きました。

バスの本数がとにかく少ないので、帰りのことを考えるとやむなく早朝の出発となりました。早起きつらい…。

 

 

行きは、

Lyon市内から電車で Saint Vallier(サン・バリエ)駅 

Saint Vallier駅 からバスで Hauterives(オートリーヴ)

 

帰りは、

バスで Hauterives から Saint Vallier 駅

Saint Vallier 駅から、再びバスでLyon市内へ

 

駅の窓口で電車のチケットを往復で買ったら、帰りはバスになりました。

料金は往復28ユーロ。

 

Hauterives へのバスは、Saint Vallier 駅とRomans sur Isère 駅から出ています。

バス時刻表は、シュヴァルの理想宮公式ホームページに載ってます。ただ、フランス語表記のものしかありません。

 

ここではわたしが実際に行ったSaint Vallier 駅からの時刻表を載せておくのでご参考までに。

 

【Saint Vallier 駅からHauterives 行きバスの時刻表】

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【Hauterives から Saint Vallier 駅行きバスの時刻表】

f:id:komadakoma:20171113132353p:plain学校がある日かどうか(長期休暇中でないか)、さらに曜日ごとでも時刻が違うので要注意です。

曜日は、L、M、Me、J、V、S、DFの順に

月、火、水、木、金、土、日祝。

日祝はそもそも時刻表にないので、バスはお休みってことなんですかね……。

 

料金は往復4ユーロでした。 

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Saint Vallier駅。

駅を出たらすぐに道路で、特になにがあるわけでもありません。田舎の駅です。

 

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駅前の道をわたったところにあるバス停。

わたしが行ったのは早朝で、他にも何人かバスを待っている人がいたので不安になることなくバスを待てました。

 

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のんびりした田舎町。晴れていてバスからの眺めは最高です。

降りるバス停がどこなのかいまいちわからず不安だったので、

「シュヴァル!シュヴァルだよ!!」と運転手さんに念を押して一番前の座席に座り、着いたときに教えてもらいました。

途中から通学の小学生でバスはいっぱいになり、車内はとってもにぎやかでした。

 

まずは、シュヴァルと家族のお墓へ

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40分ほどバスに揺られ、ようやくオートリーブ着。

バス停の近くに、手押し車に石を乗せて運ぶシュヴァル像がありました。

 

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適当に歩いてたら看板発見。シュヴァルの理想宮はこの小さな村の重要な観光資源になっているのでしょう、あちこちでシュヴァルを見かけました。

 

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小さな村なので、迷うことはありません。バス停からは少し離れた場所にこの地図とシュヴァルの理想宮はあります。

理想宮のオープンまでまだ時間があるので先に、「終わりなき沈黙と休息の墓」と名付けられたシュヴァルと家族の墓所を見に行くことにしました。

この地図の左下、ちょっと村のはずれのほうにある共同墓地の一角にあります。

 

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てくてくと歩いていくこと15分くらい。とても小さい集落なので、少し歩けばすぐに一面畑になります。

 

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この道をシュヴァルが歩いて石を拾ったのだと思うと、なんだか感慨深いものが。

 

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 途中で不自然な石を発見。この石を不自然だと思うのは、わたしが意識しすぎなんでしょうか。

道を歩きながら、試しにわたしもひとつ良さげな石を選んで拾ってみました。

するとあら不思議。急に道に転がっている石たちが宝の山に見えてくるではありませんか。

3つほど石をポケットに入れたところでやめました。

 

やっぱりなんでもやってみるもんですね。ひとつ拾うと、またひとつ、と拾いたくなる気持ちがちょっとだけわかりました。

 

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遠目からでも、なんかすごいもんがあるな…とわかるお墓です。

早朝ということもあり、まわりには誰もいませんでした。墓地だし、写真撮っていいのかな…とちょっと迷いましたが、お墓に手を合わせて、「ちょっと写真撮らせてください」とお願いしてから撮影させていただきました。

 

シュヴァルは33年にわたる理想宮の建設を終えてから、お墓の建設にとりかかりました。 

当初は棺を理想宮に納める予定だったのが、法律的にもだめ、教会にも反対されたということで、村の共同墓地の一角にこれを建てることにしたそうです。

お墓の建設には8年間かけたんだとか。

 

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お墓に蛇……どういうことなんでしょう。

 

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正面はここ。正面はわりとちゃんと?してますね。それにしてもものすごいうねうね。

共同墓地の中で異彩をはなっています。

 

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あれ?この面はなにも装飾がないのが不思議です。

 

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よくよく見ると若干気持ちわるいような気もしてきますが……すごく細かい造形です。

 

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石だけでなく、貝殻も使われているんですね。

内陸部にあるオートリーヴではなかなか手に入らない貝殻は、マルセイユに住む妻の甥が集めて送ってくれたものなんだそうです。

 

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あっ!右端と左端に、「フェルディナン・シュヴァル」のイニシャル、F とC を発見!

なんかかわいい。 

 

全体的に、お墓なのになんか生命力を感じるというか、動きだしそうな気がするお墓でした。 

理想宮への期待が高まります。

 

シュヴァルの理想宮はやっぱりすごかった

理想宮の入場料は6.5ユーロ。

営業日は 12/25、12/31、1/15~1/31 を除く日。

営業時間は、オープンは年間通して9時30分~ですがクローズが月によって微妙に違うので、行かれる方はホームページでチェックしてください。

シュヴァルの理想宮公式ホームページ

 

理想宮の前に行くと、まわりはうまい具合に塀で囲まれていて、外からは全く見えないようになっています。

 

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入ってまずは、正面と思われる方から。東側のこの面が、最初に完成したそうです。「三人の巨人」がやっぱり目立ちます。

これを本当にたったひとりで作ったのかと思うほどの大きさと細かさで、お墓同様、建物全体が生きているようです。

 

建築の知識なんてなにもなかった人が、ひとつの石をきっかけにこんなものを建ててしまう情熱ってどこから湧いてくるんでしょうか。

こんなにのめりこめる人ってうらやましい。

 

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シュヴァルが一番はじめに手がけたのが、「生命の泉」と呼ばれるこの部分。ここから33年間がはじまったわけですね……。

石や貝殻がセメントで埋め込まれていて、いろんな動物の姿も見えます。

なんとこの部分だけで2年も費やしているんだとか。ヒー。

つくりはじめた当初、こんな大きな建物になることをシュヴァル自身予想していたんでしょうか。

 

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東の正面の一番右側にある、「自然の神殿」。これまためちゃめちゃ細かいです。

東南アジアのお寺っぽい雰囲気で、一番最初に手がけた「生命の泉」の部分より格段にデザイン力や技術力があがってる感じがします。

 

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反対の西側。東側とはまたまったく違う、かなり整然としたデザインです。

ちょっと見づらいですが、柱の上の部分に「CHEVAL(シュヴァル)」の文字と、彼が誕生した年が刻まれています。

 

 

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それぞれのアーチの下には、ヒンズー寺院(左)、ホワイトハウス(右)など5つの建物が建てられています。

 

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両側にある階段から上にのぼれます。

 

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上にのぼって細かいところを見てみると、接続部分はわりと雑なんだなって思う部分もあって、なんだかすごい手作り感があってそれがまたなんとも言えません。

 

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均等じゃないこのいびつな感じが、遠くから見るとよりカオス感を醸し出すんでしょうか。

 

 

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北側。あっさりした西側にくらべて、なんだかちょっとおどろおどろしい感じがします。よーく見ると、このなかにはいろんな動物がいます。

 

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ペリカンとか豚とか蛇とか。理想宮の内部にも動物のモチーフはいっぱいありました。

動物好きなんですかね、シュヴァル。

 

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南側。右側のアーチの中の部分には、シュヴァルが長年かかって集めた形の変わった石や化石などが収容されていて、「大洪水前の博物館」と名付けられているそうです。

 

 

ここからは、内部の様子です。

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シュヴァルが石を集めるのに実際に使っていた手押し車。

 

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中は意外とつるんとしていてきれい。動物がたくさんいました。

 

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なんて書いてあるんでしょうか……。

 

 

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そしてこれは、理想宮の全体像を見るための展望台、「ベルヴェデーレ」

 

f:id:komadakoma:20171109235623j:plain展望台の上からの眺め。

 

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理想宮と同じ敷地内に、シュヴァル家の住居が残されています。

シュヴァルが理想宮をここに建てはじめたころは村のはずれだったらしいんですが、徐々に村の中心部になっていったみたいです。

 

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シュヴァル家の横には、シュヴァルに関する作品を展示した小さな資料館のようなものがありました。

 

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シュヴァルとは「馬」という意味らしく、馬とシュヴァルを合わせた作品が多かったです。

 

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たしかピカソの絵。(まちがってたらすみません)

ピカソはシュヴァルの理想宮を絶賛して、これを描いたとか。

 

生前はあまりその価値を認められることのなかったシュヴァルの理想宮ですが、シュヴァルの死後45年たった1969年には、フランスの重要建造物に指定されています。

 

 

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村のどこだったかな……なんだか気難しそうな顔をしたシュヴァルの銅像もありました。 

 

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村の人に聞いてシュヴァルが実際に働いていたという郵便局も一応確認。

 

シュヴァルの人生に思いをはせながら村を散歩し、パン屋さんで買ったパンとジュースをバス停の前のベンチで食べて、またバスで帰途につきました。

 

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理想宮を観たあとは、駐車場の木までがシュヴァルの作品のように見えたのでした。

 

 

www.komadakoma.com

 同じくフランスではこんなものも観ました。