こまだこまのロバの耳ブログ

旅行と生活。ときどき読書。だいたい酒。

2018年2月に読んだ本

京都・一乗寺にある書店、恵文社に行ってみた

f:id:komadakoma:20180320152406j:plain

2月のあたまに京都に行く機会があったので、一乗寺にある有名な書店「恵文社」に初めて行ってみました。

イギリスのガーディアン紙が2010年に発表した「世界で一番美しい本屋10」に日本で唯一選ばれたお店だそうです。

 

新刊や売れ筋っぽいものが平積みされているような一般的な本屋さんとはなんか「景色」が違うぞ?ということを、入ってすぐに感じました。

ジャンルごとに店員さんがセレクトしたのであろう本が、ゆるやかなつながりを持つように並べられていて、楽しい本棚になっています。

 

そんな中から4冊を購入。

そして一乗寺から、木屋町にあるバーへ向かったのでした。

【京都】『レコード酒場 ビートル momo』で夕方から酒とレコードに酔う - こまだこまのロバの耳ブログ

 

今月読んだ本は6冊でした。

①『台湾人生 かつて日本人だった人たちを訪ねて』酒井充子

著者が直接台湾をたずね、日本統治時代に日本語教育を受けた世代の方たちに、通訳を介さずお互いがすべて日本語で話したものをまとめられています。

 

なんでこんなにまで見捨てられてしまうかと、これがわたしはほんとに悔しいです。政府としてはなにひとつしてくれない。国のために死を覚悟してぼくたちは志願して行ったんですよ。

(中略)

いつも口癖のように言いますけど、日本のみなさんには親しみを感じますよ。たしかに昔のぼくたちの同胞だと。ぼくはいまでも̪支那人だと、そういう観念がないです。毛頭ないです。まだ日本人だというふうにね、生きてきましたよ。

 インタビューを受けた方たちに共通しているのは、終戦後、台湾の人たちに対しての補償をしなかった日本政府にたいする恨みや失望と、日本人や日本文化に対する親愛の情。

一般的に「親日」と言われる台湾ですが、お年寄りたちの声を聞いていると「親日」の台湾がまた違ったふうに見えてきます。

歴史、勉強しなきゃな…。 

②『ミャンマーの柳生一族』高野秀行

初めてミャンマー旅行に行くということで、何かミャンマーについて書かれたものを…と思い読んでみました。彼氏の蔵書。

著者の高野秀行さんと、「早稲田大学探検部」で著者の先輩であり作家の船戸与一さんが一緒にミャンマーに取材旅行に行きますが、まさに「珍道中記」

 

高野さんはいつものように現地の人たちのなかに溶け込みながら、軍事独裁政権だったころのミャンマー政府を江戸時代の徳川幕府にたとえ、さらにそのなかの権力者たちを柳生一族になぞらえてミャンマーを読み解いていきます。

序盤は、なんだかふざけてるなぁ…って感じですが、中盤からおもしろくなってきます。

実際にミャンマーに行った今、もう一度読み返したい一冊。

 

高野さんはこの本でも、ソマリアで紛争を続けるいくつもの民族を源氏や平氏などいろんな戦国武将にたとえておもしろくわかりやすく説明していて、高野さんの本のなかでも最も読み応えのある一冊なのでおすすめです。

③『今のアメリカがわかる映画100本』町山智浩

1本1本の説明はそんなに長くないのですが、なにしろ100本なのでかなり読み応えがあります。 人種、宗教、銃社会、、、

多くの日本人からすればあまり身近な問題として認識されることのない問題が、アメリカではあたりまえに、さまざまな形で身近なものとしてそこにあるんだよなぁ……と。

読んでいると、その問題の深さや怖さやどうにもならなさにぐったりしてきます。

 

映画を観るときに町山さんの紹介や解説はよく参考にさせてもらっていて、ついこないだまでツイッターもフォローしてたんですが、この人は映画に関する本だけ読むのがいいような気がします…。

④『目の見えない人は世界をどう見ているのか』伊藤亜紗

目からうろこが落ちまくるとても楽しい本だったので、この記事に感想を書きました。

すべての人におすすめしたい一冊。

www.komadakoma.com

 

わたしには出版社に勤める友人がいるのですが、彼はいま、障害者の支援をしている人と障害者に関する本を出版しようとしています。

そこで、本の肝となる部分、一番伝えたいことはなんですか?という話し合いをしたときに彼が、

「つまり、『障害者』という人はいない。それぞれ違う人間がいるだけだ、ってことですかね?」と言うと、相手の人はとても驚き、感動されたそうです。

「なんでわかったんですか?」と。

その人の経験では、多くの人は「障害者」というくくりの中でしかその人を見られず、そうじゃないんだという話をいくらしても今までわかってくれる人がいなかったそうです。

「だって障害者は障害者じゃん」と。

 

この話を聞いて思ったのは、誰にもわかってもらえない、という経験を何度も重ねていくうちに感じてしまう絶望感こそが最大の敵なんじゃないかということです。

理解のない人はいくらでもいるので、そういう人の言葉をまともにくらっていちいち絶望せず、自分の信じる道をゆくことが大事なんじゃないかと。

タフでなければ生きていけません。

⑤『西南シルクロードは密林に消える』高野秀行

またもや高野秀行さんの本で、ミャンマーにも関係する一冊。

一般的に知られている、中国の長安からローマへといたるシルクロードとは別に、

中国の成都からミャンマー北部を通りインドへといたる「西南シルクロード」というものが存在するのではないか?

という仮説のもと、高野さんがそのルートを実際にたどる旅です。

 

とはいえそこは高野さん。もちろん順調な旅になるはずがありません。

高野さんが今まで培った人脈である反政府少数民族のゲリラの力を借りて、本来なら入国できない地域に入ったり、何匹ものヒルとたたかいながらジャングルをひたすら歩きとおしたり、と思っていたらいつのまにか自分が違う民族のゲリラに保護されていたり、とにかくもう何やってんだこの人。

 

入っちゃいけないとこに入ってるからふつうのミャンマー旅行にはもちろん全く参考にはなりませんが、やってることがめちゃくちゃですごくて高野さんらしさが炸裂しているすばらしい旅行記です。

⑥『亡命ロシア料理』ピョートル・ワイリ/アレクサンドル・ゲニス 訳:沼野光義/北川和美/守屋愛

 

これはひさびさにすごい料理本に出会った!と思ったので感想を記事に書いてます。

この記事は出版社の方がリツイートしてくださり、ありがたい限りです。

www.komadakoma.com

これも恵文社で見つけた本。

わたしは食に関する本が好きなので、本屋さんに行くとだいたいそっち系のコーナーには目を通します。
値段を確認し、2000円か……とちょっと迷ったのですが、目次と、一編のエッセイを立ち読みして「これはヤバい本だ」とわかりすぐに買うことを決めました。
 
ページを開いてすぐの「日本語版への序文」もカッコいいです。
文化の差異はしばしば、仲のよい一致よりも、多くの実りをもたらす。いずれにせよ、料理の世界ではそうだ。そこでは、異国の食事をとることが、そのまま外国旅行になるのだから。
そういったさすらいの旅のかえがえのない案内人―それは、エキゾチックな料理法である。民謡と同じように作者不明のレシピは、一種の象形文字であり、その中には異国の経験と叡知が暗号のように埋め込まれている。料理というものは一番大切なことについて語ってくれるわけではない。それはうっかりと口をすべらせ、普通は人に知られることのない秘密まで語ってくれるのだ。
この本に出会わせてくれた恵文社さん、ありがとうございました。

今月のまとめ

恵文社さんで買った4冊のうち、2冊はまだ未読、2冊は個人的にものすごいヒット!!でした。最近のヒット作ばかりが平積みになっていない本屋さんだからこそ、出会えた本だったのかなと思います。

ネットで買うのもいいですが、店頭で出会う喜びってありますよね。本と目が合うというか。

そんな体験が久しぶりにできた恵文社さん、機会があればまた行ってみたいと思います。