猟師になりたい
うちの母親の同級生が狩猟の免許を持っていて、猪が獲れると肉をわけてくれるらしい。
お盆に実家に帰ったときも、冷凍保存してあった肉を焼いて食べた。
猟師さんによると、若いメスが一番うまいんだとか。
人間界と一緒ですな……。
(よく見ると、細かい毛が生えてたりする)
自分で生き物を獲るとか、それを解体する、ということにずっと興味は持っていたのだけど、そのことをこの肉のかたまりを見ていたら思い出した。
東京の自宅に帰ってきて、そういえば買ったまま積読状態になっていた本があったなぁ……と本棚を探してみた。
わたしも猟師になりたい。
でもこの本を読むと、猟師になるにはまず金がいる、ということがわかった。
猟師になるには
まず猟師と名乗るためには、必要なものがふたつある。
狩猟免許と銃砲所持許可だ。
狩猟免許試験に合格して狩猟者登録をするだけでも一応猟師だけど、それだとワナ猟しかできない。
獲物を撃つには、銃砲所持許可は必須だ。
それぞれ取得する流れは、
【狩猟免許】
初心者講習会→狩猟免許試験
【銃砲所持許可】
初心者講習会→猟銃等講習会(考査試験)→射撃練習(空気銃を除く)→銃砲所持許可申請
試験は年に数回、各都道府県ごとに行われている。
それぞれ別々の書類を用意して警察署に出向いたり、医者に診断書をもらいに行ったりしなければならず、けっこう大変そうだ。
そしてもちろん猟銃は「武器」なので、取扱に関する法令がきびしい。
たとえば、
- 銃の貸し借りは(猟師どうしでも)厳禁。
- 実績が10年未満のものはライフル銃(狩猟用ライフル)を所持できない。
- 銃と弾丸は同じ部屋に保管してはならない。

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主人公が住んでたボロアパートにも設置されてたなぁ、ロッカー。
最近ずっと「ウォーキングデッド」を観ていることもあって、銃といえば猟よりもゾンビを連想してしまうわたしです。
猟師になるための費用
これがけっこうかかることに驚いた。
まぁ考えてみれば当たり前か……。
著者の場合をみてみるとこんな感じ。
【試験関係】約3万円
狩猟免許試験 約5千円(他に医師の診断書費用2千円)
銃砲所持の講習会 約7千円
銃砲所持許可申請書 約1万円(他に医師の診断書費用4千円)
その他写真代
※著者は空気銃のため、射撃実習費用がかからないが、散弾銃を所持したい場合はさらに数万円かかる。
※鹿や猪などの大物猟をするには散弾銃が必要。
【道具】 19万5千円
中古の空気銃(スコープ含む) 15万円
中古のガンロッカー 4万5千円
銃を入れるケース 0円(知り合いからもらったため)
※散弾銃を新品でそろえた場合、火薬を扱うためガンロッカーがさらにもうひとつ必要になるので費用がかさむ。
【その他】約7万2千円
年度ごとの猟友会費、ハンター保険、狩猟者登録費 2万2千円
防寒具、双眼鏡、距離計など 約5万円
合計 約30万円
いきなり30万円はハードルが高い。
猟場に行くには車も必要だろうと考えると、費用はさらにかかる。
「アイアムアヒーロー」の主人公はけして裕福な暮らしじゃないなか、これだけのお金と労力をはらってあの銃を持っていたのかと思うと、ほんとに銃が好きだったんだなぁ……とあらためて思う。
あと、彼女だってそりゃ怒るよなぁ……。
いま、猟師になる人材が求められている。
猟師不足による害獣被害が全国的に問題になっている。
著者が猟場としている長野県でいうと、長野県全体の鹿の適正数が約1万5千頭とされているのに対し、実際は10万5千頭も生息しているとされている。
数が多すぎたら食べ物がいくらあっても足りなくなり、鹿は生き延びるために樹皮まで食べてしまう。樹皮を食べ尽くされた木は立ち枯れ、根は表土を守れなくなれば土は水をためる力をなくし、水害や雪崩が起きやすくなる。
増え続ける鹿に対して、高齢化がすすんで減っていく猟師。
いま確実に、猟師になる人材が求められている…!
とは言えまずは30万円、散弾銃を買うならもっと必要になる。
ちょっとした好奇心ぐらいでは猟師になれない。
ということだけはわかった。
でも、やっぱりいいなぁ猟師。
2も出てたんですね。
いいなぁ、山の近くで暮らすの。
著者の北尾さんはこの本を参考にしたとか。

ちなみにこの北尾さん、『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』という裁判傍聴記も書かれています。
いろんなことされてますねぇ。
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