東京で最初にできたエチオピア料理店「クイーン・シーバ」
中目黒駅正面改札を出て左手方向、山手通りを5分ほど歩いて、青葉台一丁目の交差点の角の地下にお店はあります。
エチオピア料理と言えば「インジェラ」が有名ですが、初めて食べる人にとっては「酸っぱくてまずい」「雑巾のような味」とまで言われているらしく、散々です。
わたしは12年前に船旅の「ピースボート 」でエリトリア(エチオピアから独立した国)に行ったときにこのインジェラを食べているんですが、そんなにまずかったかな……。
なにしろ12年前のことなので記憶があいまいです。
今回はこのインジェラがどんな味だったのか確認するために、「クイーン・シーバ」におじゃましてみました。
ピースボートに興味ある人はこちらの記事をどーぞ⇧
インジェラは煮込み料理と一緒に食べるとおいしい!
予想していたよりもこじんまりとした店内です。
お酒も豊富!
バーカウンターの下はDVDがぎっしり!!
このお店に来る人たちは音楽が大好きで、ほとんどが音楽のDVDだということです。
「昨日も音楽を聴きながら、朝の4時までお客さんたちが飲んでたんですよ」
って、楽しそーーーーー。
営業時間は23時までとありますが、盛り上がっちゃったんですかね。
弦が一本しかないこちらの楽器は、「マシンコ」というエチオピアのバイオリンのようなもの。
現地の吟遊詩人はこれを手に酒場を巡って歌うそうです。
いいなぁ……。
食事メニューが案の定豊富でよくわからなかったので、一番スタンダードと思われる「エチオピアントラディショナル盛り合わせ」にしてみました。
他にもいろんなセットがありますが、基本はビーフやチキン、ラムなどを煮込んだものとサラダ、インジェラとダボと言われるパンのセット、という感じですね。
ダチョウやホロホロ鳥など、食べたことのないものがたくさんあって目移りしますが、今日のところは我慢……。
次回食べます!
ケニアのビール「タスカー」で乾杯。
さっぱりとした甘さで飲みやすいです。
まずはレンズ豆のサモサ。
中が肉でなく豆だからか、揚げ物なのにさっぱりとした感じでおいしいです。
優しいスパイスの味付け。
サラダは特に変わった味というわけではなく、普通においしい。
赤い細切りになっているのはビーツ。ロシア料理のボルシチにも使われる野菜です。
こんなふうにサラダで食べてもイケるんですね。
土臭さを感じずに食べられました。
奥がヤギのケバブ、手前がチキンのケバブ。
見た目ではどっちがどっちかわかりません。
どちらもスパイスで味付けされていて、やわらかくておいしい!
ヤギも特に臭みが気になるということもなく、おいしかったです。
わたしはヤギの方がクセになる味で好きでした。
そしてついにインジェラ登場!
下に敷かれている、灰色の薄いクレープ状のものがインジェラです。
そして上にのっているのは、真ん中にある一番量が多いものがビーフの煮込み。
その上下にある黄色いのが野菜のマイルド煮。
左右にある煮込みはラムとじゃがいも。
オレンジ色のぽろぽろとしたものが、インクラルと呼ばれるエチオピアのスクランブルエッグです。
これらのおかずをインジェラで包んで食べます。
別皿に、インジェラをくるくると巻いたものと、ダボと呼ばれるエチオピアのパンがきました。
ダボに入っている黒いつぶつぶは、ブラッククミンだそうです。
さわやかでとてもいい香り!
さて肝心のインジェラです。
まずは鼻に思いっきり近づけてみると……
うん、たしかに独特のにおいです。
なんだろう、古い民家のカビくさい感じ、といいましょうか……
あまり「いいにおい」とは形容できない発酵臭です。
インジェラ単体で食べてみると、酸味が口のなかに広がります。
でも、ネットや本の評判で見たような、「うげっ!!!」となるような強い酸味ではありません。
逆にちょっと拍子抜けしました。
多少日本人向けに、酸味は押さえてあるんでしょうか……??
そしてまずはビーフの煮込みを包んで食べてみると、、、
うまい!
まず、ビーフの煮込みそのものがとてもうまい。さすが真ん中にどんといるだけあります。
そして、煮込みの濃い味にインジェラの酸味が合います。
こういうことか……と納得しました。
スクランブルエッグや野菜のマイルド煮もおいしかったですが、やっぱり味の濃いビーフの煮込みとラムの煮込みがインジェラに一番合います。
店主によると、インジェラは作るのがけっこう難しいそうで、
発酵がすすみすぎないように途中で水で洗ってるんですよ、と言ってました。
原料は「テフ」と言われるイネ科の植物。
強い酸味は、パンのようにイースト菌ではなく、乳酸菌で発酵させているためです。
エチオピア国外ではこのテフは入手が困難なので、年に一度エチオピアに仕入れに行くんだそうです。
ドリンクメニューも聞いたことないものばかりで迷いますが
ワイン好きの友人により、南アフリカの赤ワイン「スピアー」に決まりました。
辛口かつしっかりした感じのあじわいで、煮込み料理に合います。
赤ワインをあけたあと、店主におすすめのドリンクを聞くと、紹介されたのがこちらのハニーワイン。
はちみつのワインで、めったに入荷しないものなのだとか。
希少で販売価格も高くならざるをえないので、「高いお店」だと思われたくないからお客さんにはあまり出せないんだよね。。。とのこと。
せっかくなので飲んでみました。
香りは甘く、まろやかな感じ。
おおー、はちみつ!と思いながら飲んでみると
味は意外にもドライ!
どちらかというと辛口で、はちみつ感はあまりしません。
香りと味のギャップにとまどいつつ、なんだか不思議な味。。。
個人的にはあまり好きな味ではありませんでしたが、ワイン好きの友人はいたく気に入ってました。
エチオピアではハニーワインがよく飲まれていて、ハニーワインの専門店もあるほどなんだそうです。
という話から、次におすすめされたのがこちら。
ラベルには「トラディショナルミード」と書かれています。
「ミード」は蜂蜜酒のこと。
さっき高いハニーワインを頼んだからか、こちらはサービスでくれました。
「僕はこれあんまり好きじゃないんだけどね……」
って、正直か!
飲んでみると、こちらは香りも味もとろりと甘く、紹興酒を連想させる味。
甘くてとても飲みやすいです。
「紹興酒みたいですねー」と言うと、
「僕は紹興酒も好きじゃないんだよね……だからねー」
ってまたもや正直でいい感じです。
このお酒は、メイドインアメリカになっていますが、アメリカ在住のエチオピア人によって作られているそうです。
お酒ですっかり盛り上がってしまいましたが、コースの〆はエチオピアンモカコーヒー。
コーヒーに入っている緑の葉っぱはなんだろう??
と思って聞いてみると、これだよ、とわたしてくれました。
「ティナダム」というハーブだそうです。
さわやかでありながら独特の香りで、これを入れるとコーヒーが全く違った香りになります。
食後の口の中をさっぱりとさせてくれる、清涼感のあるコーヒーでした。
そして、食事全体の感想。
味付けの基本にスパイスが使われているものの優しい味のものが多かったのが意外でした。ガツンとスパイス!!って感じではありません。
全体的に優しい印象。
未知の味に興味のある人は、ぜひ一度トライしてほしいお店です。
エチオピアの食事だけでなく音楽についても知れるお店
最初は物静かでおとなしそうな印象を受けたエチオピア人店主。
食事やお酒のこと、音楽のこと、いろいろと尋ねてみると丁寧にこたえてくれて、ニカと笑ったその笑顔がとてもいい笑顔で魅力的でした。
食事のあと、店内のテレビでエチオピア音楽の映像をいろいろと見せて説明もしてくれました。
店内にも飾られていた楽器「マシンコ」を弾いて歌う様子は、食事やお酒などと同様にまた独特な雰囲気のもので、新鮮です。
歌というよりは浪曲のようなイメージというか、しゃべり言葉に節がついたような感じで、意味がわかればもっとおもしろいんだろうなぁと思います。
Traditional Funny Music
こちらは参考までに。
意味はわからないけど楽しそう。。。
金曜日にはお店でライブもやっているそうです!
お店が忙しいときは難しいですが、そうでないときは店主の方にいろいろと聞いてみると、食事だけでなくエチオピアのいろんなことが知れてとても楽しいお店です。
とても流暢な日本語に魅力的な笑顔の、素敵な店主でした。
クイーン・シーバへのアクセス
【住所】東京都目黒区東山1-3-1 ネオアージュ中目黒 B1F
【アクセス】東急東横線中目黒駅から徒歩6分
【営業時間】17:00~23:00
【定休日】無
【電話】03-3794-1801
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