こまだこまのロバの耳ブログ

旅行と競艇。ときどき読書。だいたい酒。

2018年6月に読んだ本

6月にあった本関係の出来事といえば、わたしの好きな作家さんのひとり、高野秀行さんの話を聴くため、「ゴールデンバガンランチセミナー」に行ってきました。

四谷三丁目にある「ゴールデンバガン」というミャンマー料理店が主催するイベントで、今回はミャンマーの納豆料理がテーマ、ゲストがノンフィクション作家の高野秀行さんでした。

 ゴールデンバガンランチセミナーで話すノンフィクション作家の高野秀行さん

(詳しくはこちら↓↓↓)
www.komadakoma.com

特に好きな作家のサインが欲しいとか会いたいとかはあんまり思わないわたしですが、作家の人に実際に会ったのは、歌人の穂村弘さんについで二人目です。

高野さんは、海外の辺境で過酷な旅をいつもしていると思えないほど華奢な体で驚きました。

 

てなわけで、今月読んだ本は5冊です。

相変わらず少ない……。

マンガばっかり読んでます。

 

①『驚きの介護民俗学』六車由美

「介護民俗学」という聞きなれないワードにひかれて読んでみました。

もともと大学で民俗学研究者だった著者が「縁あって」介護施設で働くことになり、

そこで入居者たちと向き合い、民俗学的手法である「聞き書き」をしていきます。

 

入居者たちの話を丁寧に聴いてそれを記録し、その方の自分史として、その時代を生きた方の文化生活史としてまとめることは、民俗学的にも、入居者本人やその家族の方々のためにも意義がある。

介護が必要な高齢者であっても、認知症であっても、じっくりと相手の話を聞く。

ただそれだけのことが、相手にとっては救いであったり、こちらにとっては新鮮な驚きであったりする……

 

ずっと接客業で、相手の話をじっくり聞くこと自体が仕事のわたしは正直最後まで、「まぁそうだろうなぁ」という感じで、本の内容にはあまり驚きはありませんでしたが、著者と入居者の方の会話部分はおもしろく読みました。

 

「介護民俗学」が驚きだったりおもしろいんじゃなくて、「ひとりひとりに生きてきた歴史があった、生活があった」

ってことが驚きだしおもしろいんですよね。

 

そしてちょっと気になったのが、現職の介護職員に対する批判。

雑務に追われて入居者の話をろくに聴かないなんて介護士失格、みたいな描写が出てくるんですが、うーん。

実際、ゆっくり話を聴いてあげたくてもなかなかその時間が取れないというのが現状でしょうしね……。

「民俗学」の高みから「介護」の現場を見下ろしているように感じる部分があったので、今実際に介護職につかれている方はこの本をどう読むのかなぁ、と思いました。

著者がなぜ大学をやめて介護施設で働くことになったのか、全く説明がないのも「?」でした。

②『古武術に学ぶ身体操法』甲野善紀

ここのところなんとなーーーくうっすらと興味を持っているワードとしてわたしのなかにあるのが、合気道とか古武術とか身体運用とか。

てことで、武術家の甲野善紀さんの本を初めて読んでみました。

 

難しそうだなーと思ってましたが意外にも読みやすくてよかったです。

元巨人の桑田真澄選手がスランプに陥ったとき、甲野さんの指導で武術の動きを取り入れてスランプを脱した経緯とか、

腕を振らずに走る(ナンバ走り)と、内臓がねじれないのでエネルギーを消耗しなくて疲れにくいとか、

興味深い具体例とともに説明されていて、わたしのように古武術の知識は全くないけど興味はちょっとある、という人には入門編としてちょうどいい本だと思います。

③『恋するソマリア』

前作ですっかりソマリの地とソマリの人たちに「片想い」してしまった高野さんが、再びソマリ世界へと旅立ちます。

 

最初に『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア (集英社文庫)を読んだときは、ソマリ人特有の氏族制度についての説明がかなり混み入っていてそれを理解するのにまず時間がかかって大変でしたが、

2冊目となる今回は、ワイヤッブやハムディなど、前回も登場した人たちが再び登場して前半はなんだか懐かしいような気持ちになりました。

 

後半は、ソマリ女性たちに念願の家庭料理を教えてもらって喜んでいたかと思えば、最後はなんと銃撃戦に巻き込まれるという怒涛の展開。

カート(覚醒植物)の食べ過ぎでひどい便秘に悶絶する、という滑稽な描写のあとの銃撃戦だったので、その落差がすごいです。

よくぞご無事で……。

 

前作はソマリの政治状況や社会構造について書かれたものだったのに対して、本作はそこからさらにもう一歩踏みこんだ文化や生活などについて書かれていて、2冊合わせて読むと、ソマリ世界のことが少しわかってきます。

 「自分の父親を殺した男の娘を嫁にもらう」、という氏族制度独特の解決方法が今も行われているなど、驚くこともたくさん。

 

それにしても、どこかの国にこんなに恋できるなんてうらやましいです。

いろんな意味で、高野さんってやっぱりすごいなぁ、と思った1冊。

④『腰痛探検家』高野秀行

勢いに乗って高野さんの本2冊目。

「腰痛」について書かれた本。

海外にも辺境にも行ってないなんて、高野さんの本としては珍しいな……しかもテーマが「腰痛」ってなんか地味だな……と思ってあまり期待せず読み始めたらこれがおもしろい。

さすが高野さん、こんな地味なテーマなのにちゃんと狂ってます。

 

腰痛をわずらい、密林をさまようがごとく正しい道もわからないまま、いくつもの病院を転々とする高野さん。

整骨院、整形外科、鍼灸院、PNF研究所などなど、約2年間で合計8ヶ所もの「先生」のもとを訪ねます。

その様子はたしかに、「腰痛世界」を地図も持たずにさまよう「探検」

それぞれの先生に自信満々に「必ず治る」と言われても、どこへ行っても何をしても治らない。いったい誰の言うことを信じればいいのか??

 

「もう一回、もう一回だけ行って治らなかったらここに通うのをやめよう」と思いながら見切りがつけられずずるずると通ってしまう。

治療者と患者である自分の関係を、「悪い男と別れられないダメ女子」に例えたり、

 

どの医者にかかればいいのか、どれをどこまでやればいいのか、ド素人である自分が

全部調べて決めなければいけないなんてどーすりゃいいの!という苦悩が、

「独裁国家が民主化されても国民は幸せになるとはかぎらないとつくづく思う」

という話につながったりするところが高野さんらしいです。

 

普段は書かれることのない奥さんや飼い犬が登場したりと、いつも辺境でおかしなことばかりやっている高野さんの日常が垣間見られるのも逆に新鮮でした。

 

そして結局腰痛は治るのか??

そこには意外な結末が。

腰痛持ちの人もそうでない人も、「腰痛世界」という密林が楽しめる1冊。

⑤『ソウルフード探訪 東京で見つけた異国の味』中川明紀

日本には、約255万人の在留外国人がいるそうで。

「あなたのソウルフードはなんですか?」と、32か国の人に取材した本。

お店、イベント、大使館など、著者はいろんなところで彼らのソウルフードを食します。

 

食に関する本は好きなので期待して読みましたが……

実際にあったことをそのまま書いているだけで、文化や歴史などの考察があまりないので深みがないというか、ちょっと物足りなく感じました。

読み物としてはいまひとつ…。

ただ、紹介されているお店には行ってみたいと思います!

まとめ

来月こそはたくさん本を読もう!と毎月言ってるような気がしますが、6月も5冊で終わってしまいました。

マンガはたくさん読んでるんですけどね…。

高野秀行さんに会えたのは、うれしい出来事でした。